A.遺留分
遺留分とは、相続人に認められた相続できる最低限度の割合です。
財産の所有者は自分の財産を生前贈与や遺言等によって自由に処分できるのが原則で、遺言で全財産を遺贈することも可能です。しかし、それでは残された配偶者や子どもは住む家も失うことになり、生活が脅かされる事にもなりかねません。行き過ぎた遺言により生れる悲劇を食い止めるためにできた権利です。
ただし、相続人の遺留分を侵害する遺言であっても、無効となるわけではありません。
遺留分を取り返す権利を行使するかどうかは相続人の自由です。遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)がされるまでは遺言書は効力のあるものとされます。
遺留分割合
遺留分を請求できるのは、配偶者と直系卑属(子・代襲相続の孫)及び直系尊属(父母)だけです。
◆ 配偶者・直系卑属のどちらか一方でもいる場合 ・・・ 相続財産の2分の1
◆ 直系尊属だけの場合 ・・・ 相続財産の3分の1
◆ 兄弟姉妹 ・・・遺留分はありません。
遺留分減殺請求
請求相手は遺留分を侵害した相手に財産の返還を請求するものです。特に役所や裁判所に提出するものではありません。
内容証明郵便などで遺留分減殺請求をします。それでも相手が応じない時には、家庭裁判所に調停を申し立てることになります。
ただし、請求権は1年と時効が短いので注意が必要です。